

上がる紙のコスト
ダイレクト・メディアとしての進化
上がる紙のコスト
2025年2月現在において、紙媒体(紙)の先行きは陰っている。不確実性の増大から波瀾が常態化した世界情勢。原材料や資源価格の高騰、需要の減少と製造コストの上昇など、種々の要因で紙のコストは上がりはすれども下がる気配はない。
このような背景において、紙はもはや「ばら撒き」のツールにあらず。以前『紙媒体の使いどころ』という記事でも、紙は媒体としての性格を改めるべきだと書いた。
フライヤー(flyer)の語源は、飛行機などからばら撒かれていたことに由来すると聞いたことがある。だが、令和の日本においてそんなスタイルはコスパがわるすぎる。
状況は変わった。チラシ、もとい散らすなどとんでもない。紙はエコな――経済環境に配慮した――媒体になった。景気よくばら撒くならWeb上、紙は時代に圧され新たな意味で、より限定的なリアル媒体になったのである。
ダイレクト・メディアとしての進化
ばら撒きには向かないメディアとなった「紙」。では以前のような宛名広告(ダイレクトメール)に還るのか? 否、そこに還る場はない。そんな古臭い方法で生き残れるほど現在の商況はあまくはない。
「脱ばら撒き」――紙の限定性は、より高精度のペルソナ(商品やサービスを利用する可能性のある顧客像)に向けられる必要があるだろう。ばら撒きはネット空間の行為とし、リアルな地点、より確信的ゴールへの精密誘導媒体として、紙媒体のアイデンティティをリファインする。かかるコストと付加価値のバランスがよいダイレクト・メディアとして生まれ変わる必要がある。
そのためには、この再生を必要とするメディアをとりまく人間の意識変革がなにより重要となる。ここぞという勝機に放たれる勝負紙――「この本は電子書籍ではなく、紙の本として手にしたい」――そのようなメディアへと進化するための考究が、今、そしてこれからの紙媒体に関わる人間には必要だろう。
